アレクサンドル・デュマ著 『モンテ・クリスト伯』を読んで

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我が家の本箱に『モンテ・クリスト伯』岩浪文庫版の1巻から5巻までがあった。

今夏、ある青年が我が家に訪ねて来た。その青年が、その背表紙をみて「『モンテ・クリスト伯』読んだんですね。面白いですよね。今、『新訳モンテ・クリスト伯』が平凡社より出版されて、それを読んでます。」と言っていた。

それに触発されて『モンテ・クリスト伯』を本箱から取り出し1巻から読み始めた。8月初旬だった。

読み始めて分かったのだが、岩浪文庫版は全5巻ではなく全7巻なのだ。つまり、完読してなかったことがわかった。

そして先日2025年10月17日、全7巻を読了した。

許婚を得て幸せ絶頂の未来と希望のあるエドモン・ダンテスが謀略により無実の罪で14年の歳月を牢獄で過ごす苦悩。

エドモン・ダンテスとフェリス司祭のまさに師弟関係ともいえる交流の日々。

謀略の首謀者たちに対し復讐を誓いモンテ・クリスト伯として生まれ変わる変身譚。

複雑に絡み合う人間模様。

奇想天外なストーリの展開に、まさに本から目が離せなくなってしまう面白さ。

ウィキベディアによると、「1844年から1846年にかけて、フランスの当時の大手新聞に掲載され、同じく1844年から1846年にかけて18巻本として出版された、壮大な復讐の物語である。」とある。

日本でも「巌窟王」としてベストセラーになったことは言うまでもない。

フランス、イタリアの貴族社会の様子や庶民の暮らし、キリスト教が当時の人々の精神的支柱であり生活や思考に根ざしていることもよく分かった。

時代が産業革命を経て、通信技術も、旗振りから腕木信号に進化していくことや金融市場が発達していく様子も垣間見ることが出来た。

分かりずらいと思った点は、物語の流れの中で同一人物の名前が複数でてくるところもあり、また、似たような名前も多いことから頭の中で混乱することがあった。

しかし、これは例えであるが、「炎の人ゴッホ」と形容される画家のゴッホの場合だと正式な日本語カナ標記だと「フィンセント・ウイレム・ファン・ゴッホ」となるが、家族は皆、姓では「ファン・ゴッホ」な訳で、オランダ読みで読むかフランス読みで読むかでも違うように、我々日本人にとってはどうしても乗り越えなければならないことである。

私自身が一番感じたことは、一人の人間の強さ、弱さを感じた。連綿と続く人の宿命の綾、あの時、あの場所、あの出会いがなかったらすべてのドラマが変わっていく不思議というものを感じた。

エドモン・ダンテスがモンテ・クリスト伯として生まれ変わるその根底には復讐心があったことは間違いないが、14年もの牢獄生活の苦悩がその復讐心を神への信仰心とありとあらゆる知識習得と智慧の発露へと昇華したのではないだろうか。

イタリアやフランスの景色を楽しみながら、19世紀のヨーロッパを旅した気分にもさせてもらった。

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この記事を書いた人

還暦突入。雇用延長で頑張って働いています。地方銀行に約13年勤務後、転職して現在に至っています。宅地建物取引士。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。

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