個人で身の丈の起業を考えているなら合同会社の設立を考えて欲しい。「合同会社なんて聞きなれない」「やっぱり起業するなら株式会社でしょ」と思われる方もいるでしょう。
そうなんです。会社法改正で「合同会社」が誕生したのは2006年です。今年2024年で18才。生身の人間であれば大学生になる年齢です。
「合同会社」について徹底的に知っていきましょう。難易度は初級クラスと思ってください。
実はメジャーな合同会社
フィリップモリス・ジャパン、西友、グーグル(日本法人)、アップル・ジャパン、アマゾン・ジャパン、これらの名立たる企業は、実は合同会社なのだ。
この会社名を見て分かる通り親会社がアメリカの会社が多い。これは、合同会社のモデルとなっているのがLLC(Limited Liability Company)であるからだ。
コーヒーブレイク:合同会社の英語表記はどうなるの?
アメリカのLLCをモデルにしたことから、やはりLLCと表記することが多いよ。
2006年の会社法改正の時に合同会社が生まれて有限会社は設立できなくなったんだよ。
だから、有限会社もLLCと表記することがあるんだ。
合同会社のメリットとデメリット
メリット
- 設立の費用とランニングコストが安い
- 意思決定が早い
- 決算公告は株式会社と違い必要ない
デメリット
- 会社形態としての認知度が低い
- 株式上場出来ないので資金調達が難しい面もある
- 利益配分のトラブル発生の可能性がある
合同会社の最大の特徴は、出資した人が会社の所有者(経営者)であるということだ。つまり、所有と経営が一致しているということだ。
合同会社という「合同」という言葉通り、出資者すべてが社員(株式会社でいう役員)ということなのだ。社員は、出資額に関わらず平等に議決権があるのだ。
よって、意思決定の際は多数決で決められることになる。株式会社のように総会屋リスクがないことも合同会社の特徴になる。
また、株式会社でいう代表取締役のことを合同会社では代表社員という。
なぜ合同会社を勧めるのか
合同会社の社員は有限責任社員である。これに対して合名会社の社員は無限責任社員である。また、有限責任社員と無限責任者員の両方がいるのが合資会社となる。
グーグル(日本法人)合同会社のような巨大企業だけではなく、冒頭に記述したように「個人で身の丈の起業」としたが小規模事業者が多いのは個人事業からの法人成や一人起業、家族経営、資金を持った人とノウハウを持った人が一緒に起業する場合は合同会社が向いているということだ。
実際に個人の不動産投資が増え合同会社に法人成したケース、所得が大きくなった場合に税率差が30%になり節税のため法人成したケース、副業が禁止されているサラリーマンが配偶者を代表にして合同会社を設立するケースがよく話題になる。
昨今の統計では会社の新規設立のうち約4分の1が合同会社である。
「法人格のある合同会社は、信用力の面で株式会社と大差ない」
2007年5月30日付け日本経済新聞より
したがって合同会社を勧めるのである。
合同会社設立スケジュール
- 会社概要の策定 ・会社名・代表・出資金・事業目的・資本金・決算
- 定款作成・登記 ・法人印・定款作成・資本金払込・法務局提出(公証人役場での定款認証不要)
- 設立後手続き ・年金事務所・税務署・県税事務所への提出 銀行口座開設
- 決算と確定申告 納税「法人税」「法人住民税」「法人事業税」の納付(決算実績に応じて)
このスケジュールを見て頂いて分かる通り、基本的には株式会社とあまり変わらない。
合同会社と株式会社の設立で大きな違いは費用が大きく違う点だ。
合同会社は紙ベースの定款作成の印紙代で4万、登録免許税6万、計10万。これに対し株式会社では25万位かかる。つまり、合同会社は株式会社の半分の費用負担でよいという訳だ。
まとめ
今まで述べてきた通り合同会社は
- 信用力がある
- 設立費用が安い
- 意思決定が早い
- 身の丈起業に適している
しっかりと資金を蓄え計画と準備を万端にして夢の実現に向けてスタートしてもらいたい。
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